短編小説「百日の写真」(12)
「その学芸員がほかならぬチェ・ソンオクさんの父です」
ミョンスン館長がソンオクを前に立たせながら言った。
「そうですか」
ソンオクを眺める
「お父さんはお元気ですか」
ソンオクは何か言おうとしたが、声が出なかった。一瞬、のどが詰まってしまったのだ。
「ソンオクさんのお父さんは数年前、亡くなられました」
館長が代わりに答えた。
「それはお気の毒ですね。けれども、お父さんの代をついで、わが党の思想部門の前哨を守っているソンオクさんを見ると本当にうれしいです。この父ありてこの子あり、ですね」
重ね重ね言う
「
次の部屋に移ろうとした
「オクポ里の小道?」
「ほんとうに貴重な写真です。
小道の写真の傍に並んでいる今のオクポ里の全景の写真を指して、
「今のオクポ里は見違えるほど移り変わりました。このように並べて展示したので、オクポ里の小道の写真が与える余韻が本当に大きいです」
ソンオクは父が生きていて、今、この場にいたとすれば、どんなによかったことだろうと切々と思った。
「
しかし、
あの時の