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短編小説「黄金の稲穂は揺れる」(7)
 チュチェ110(2021)年に出版された短編小説「黄金の稲穂は揺れる」
第7回 

 ふと、パク・チンスは娘の話を遮った。
 「お父さんが管理委員長なんでしょう?」
 「そうです、それで私は父がいなければ手には余るでしょうが農作はうまくできる、今は誰もが時代の発展とともに、一生懸命学ばなければ、すぐ無知なものになりかねない、と言って父を送りました」
 父が発った後、ヒョンアは農作に励んだ。種子を技術規定通りに消毒し、苗代に種も蒔き、田んぼが狭しと走り回りながら、代掻きと水遣りにきちんと取り組むよう要求度も高めた。一生懸命働いたせいか、苗はすくすくと育ち、いつの間にか田植えの運びとなった。
 それが、田植えを間近にして天から雹が落ちるとは、季節外れの雹と強風は、夢と希望に満ちていた娘の志気をいっぺんにへし折ってしまった。
 昼食を終えて田んぼに出ようとする瞬間、急に「タタタ」という音とともに風が吹き荒れるので、ヒョンアはびっくりして窓に寄り添った。
 幸いにも家だったので雹に当たりはしなかったけれど、風にガタンゴトンするドアに力いっぱいしがみついていた。ものすごい音とともに屋根に雹が落ちて穴が開き、瞬く間に家中が水浸しになった。
 瓦が道端に散らばり、窓には木の葉みたいな得体の知れないものがこびり付いた。しばらく見ると庭に植えたチサだった。
 風が過ぎ去り、水浸しになった部屋をおおむね掃除し、外に出たヒョンアは、目の前の光景に仰天してしまった。
 村の被害をどう口で現したらよいか分からなかった。
 ヒョンアは生まれて初めてこんな目にあった。胸がどきどきし、足が震えて歩くこともできなかった。
 苗代はもっと凄まじかった。青々と育っていた苗があったとは思えぬほど、きれいに無くなっていた。ヒョンアはその場に座り込んで泣き喚いた。目の前の現実が到底信じられなかった。
 「そうだったのか」
 パク・チンスはヒョンアの話を聞きながら、村人がどれだけ驚いたのか読み取れた。ヒョンアはまた農作に取り掛かると言った。パク・チンスは頷いた。
 泣き虫だと思ったヒョンアが普通ではないと思われたのはその次の日である。カンミョン里が被害を受けた後、所在地にお嫁に行った娘が母を連れに村に来た。その母は村に長い間暮らし、息子は人民軍に服務している。
 ヒョンアはこれを知ると、連れて行けないと我を張った。でもその娘は意地を張った。家が倒れたのにどこで住むのかというと誰も答えられなかった。
 ヒョンアは、これから先、村がすばらしくなったとき、また戻ってくる考えはしないでほしいと叫んだ。