短編小説「百日の写真」(8)
ソンオクの父のチェ・ボクマンがヨンジャン里に着いてみると、すでに結婚式は終わり、その家では遠いここまで訪ねてきたカメラマンに手厚い昼食をもてなしていた。
歓待に酔いしれて長居でもしたら大変だと思ったチェ・ボクマンは無礼であること承知の上で、カメラマンの横に割り込んだ。
「恐れ入りますが、実は、今日が一人娘の百日でしてね。これから写真を撮りに行ってもらえないでしょうか」
「あーそうですか。百日も結婚式の日と同じように意義深い日ですからね。ご心配なく、写真を立派に撮って上げますから」
「それを聞いてほっとしました。では、俺は外で待っていますから」
「あ、せっかくいらしたんですから、一緒にしませんか。まあ、注いでいただいたこのお酒だけを飲み干してからすぐ行きましょう」
チェ・ボクマンもカメラマンの補助役扱いされて貴賓だけを接待する席に招かれた。オクポ里から来たその家の姻戚の人が同席していたが、今日の結婚式に危うく遅れるところだったとそのわけを話していた。
「うちの村で明日から道路工事が始まることになっておりましてね」
「チャンソンがまた移り変わることになりますね。昔、
自分の村の移り変わりを自慢する話だったが、それを聞いたチェ・ボクマンは胸がどきんとする思いだった。その小道は余りにも険しいので、自動車どころか、牛車も通れない道だった。1963年、
革命事績館には、オクポ里の牛の放牧地を訪れた
(その日、
チェ・ボクマンは不安に駆られて、その姻戚の人に聞いた。
「道路を新しくつくると言う事ですが、それではあそこにある
「さあ、そのことまでは分かりませんが」
チェ・ボクマンは気が気でなかった。