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短編小説「実力者」(1)
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 静寂!静寂だけが宿っている執務室では時間も止まっているように思われる。
 ちょうど前に当時の人民武力部が提言した敵の蠢動への対策案について結論した敬愛する金正恩総書記は暫くの間、椅子にもたれて、目をつぶっていた。
 偉大な金正日国防委員長が突然なくなるという民族の痛恨事があってからわずか1年余りの間に少しも安らぎの時がなかった金正恩総書記なので、どうしようもなく押し寄せる疲れに耐え切れないのだった。
  アメリカとその追随勢力は言うまでもなく、大国を名乗る国々まで、自分たちの支配主義的な意思と要求をそれとなく強要しようとする由々しい情勢の下で、国と民族の運命を一身に担った総書記の過重な負担は量り知れないものだった。
 政治と経済、国防建設を始め、各分野で提起される重要な問題が党中央委員会の執務室で、あるいは現地指導の路上で構想され、結論付けられていた。
 どれほど時間が経ったのか、全身を襲う緊張感を覚え、椅子から起き上がった金正恩総書記は腕時計に目をやった。
 (うっかり眠りについていたな)
 わずか10分間の転寝に、つかの間だけでも身をゆだねたのがもどかしそうに金正恩総書記は大きく深呼吸をしながら執務室の片隅に置かれた地球儀のほうへ行った。
 総書記の手に触る大きな球体は命を吹き込まれたかのように、ぐるぐる回り始めた。
 数百を数える国家と民族が各々の理念と意志で生きている青い惑星がおとなしく軸に沿って回っていた。
 その上を交錯する国境線を越えて死に物狂いの勢いで疾走する戦争馬車の車輪の音が今にも聞こえるようだった。
 だが、今、総書記の脳裏に浮かぶのは全く別のシーンだった。
 もやもやと陽炎の立つ青い芝生を一頭の白馬が勢いよく走っていた。
 疲れを知らない強い力で果てなく広がる未来に向かって疾走するその姿はまるで一幅の絵のようだった。
 そうだ、たった今、乗馬クラブ関連の書類を見ていたな・・・
 総書記は走る白馬がなぜ急に脳裏に浮かんだのかそのわけが分かるような気がした。
 (ミリム乗馬クラブのロゴマークのことか・・・)
 建設最中の乗馬クラブに行くたびに、新築される大衆サービス施設のロゴマークを一日でも早く創作することを再三、念を押した金正恩総書記だった。
                                                                                                                                               作者 パク・ホサン